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安全保障関連3文書改定反対声明(全国会議)

全国会議として本日付で「平和的生存権を脅かす安全保障関連3文書の改定に反対します ~ 防衛費増額を止め、コロナ対策・物価高騰対策・社会保障の充実を求めます ~」を発信しましたので、皆様にお送りいたします。安全保障関連3文書改定反対声明

 

岸田文雄 内閣総理大臣 様

 

平和的生存権を脅かす安全保障関連3文書の改定に反対します

~ 防衛費増額を止め、コロナ対策・物価高騰対策・社会保障の充実を求めます ~

 

2023年1月17日

一般社団法人 社会福祉経営全国会議

 

 2022年12月16日、岸田政権は「安全保障関連3文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)」の改定を閣議決定しました。この中で、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有、その調達にかかる予算などが明示されましたが、これらは国権の発動たる戦争を、より現実的なものとする新たな展開であることに疑いの余地はありません。

日本は世界大戦の反省の上に、1946年11月3日、日本国憲法を公布。前文において「われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する」と誓い、国際的な課題については外交による平和的問題解決を基本としました。しかし、「安保3文書」は、憲法の理念と異なり、戦争や紛争を前提としています。そのため、近隣諸国との緊張がこれまで以上に高まることは明らかです。さらに、この度の改定は、これまでの防衛戦略を大きく転換するものであるにもかかわらず、政権与党の選挙公約にも掲げられず、国会や国民的議論も欠いており、到底認めることはできません。

 社会福祉経営全国会議は、平和のうちに生存する権利を脅かす「安保3文書」の閣議決定に強く抗議します。

 岸田政権は、「安保3文書」の改定によって、防衛費を現状の2倍にしていくことや、5カ年で約43兆円もの予算確保を明示。2023年1月14日の日米首脳会談では、中国や北朝鮮への対応などで、日米同盟をより深化させる方針(軍事一体化)が確認されたと伝えられており、日本が戦争に巻き込まれる危険性は一層高まりました。これら防衛費の調達にかかる財源は明らかにされていませんが、消費税等の増税、新たな国債の発行、さらには、防衛費以外の予算の削減等が考えられます。また、「全世代型社会保障」への転換を踏まえれば、社会保障・社会福祉制度にかかる予算削減も同時に進められることは明らかであり、国民にとって大きな負担となることに疑いの余地はありません。

 今、新型コロナで陽性となっても医療ひっ迫を理由に医療にアクセスできない状態が続いています。重度化リスクの高い高齢者や障害者は原則入院としながらも、施設や在宅に留め置かれ、重症化、死亡する例が後を絶たず、3年を過ぎた今でも収束の目途はたっていません。加えて、ウクライナ情勢と金融施策による円安、物価高騰によって、様々な事業経営が圧迫され、実質賃金が低下、国民生活はかつてなく疲弊しています。これを下支えする社会保障・社会福祉制度においても、この間の改定では、常に「制度の持続可能性」が課題とされ、国民の負担増、サービスの縮小が繰り返されています。

こうした中にあって、さらなる増税と社会保障・社会福祉制度に係る自己負担の増・給付削減が強行された場合、これまで以上に貧困問題が深刻化しかねません。そして、貧困対策の中核をなす社会福祉事業も瓦解しかねません。

 社会福祉経営全国会議は、国民の平和的生存権を守る立場から、近隣諸国との緊張を高め、国民生活を脅かす増税を伴う安全保障関連3文書の改定に反対の意を表明します。そして、安心して医療にかかれる環境整備や実質的賃金引上げなどの物価高騰対策、そして、生活を下支えする社会保障・社会福祉制度の充実を公的責任の下で行うことを強く求めます。